◇法雲寺(初狩)

JR初狩町から北東へ徒歩約15分、曹洞宗の寺院法雲寺がある。山梨県大月市初狩町下初狩1450。

法雲寺は昔あった鎌倉時代の釣り鐘に「甲州初狩妙台寺」と記され、妙台寺という浄土宗の寺院だった。桃山時代に曹洞宗法雲寺にかわった。山号は「萬松山」、本尊は「薬師如来」。創建者は不明。

 

法雲寺には、県指定文化財「弥陀三尊迅来迎板碑 みださんぞうじんらいごういたび」がある。阿弥陀如来と観音菩薩と勢至菩薩の阿弥陀三尊が信仰者の臨終に際し極楽へ引き取るために迎えにくる様子が線刻されている。紀年銘がない図柄や技法・碑の形態から鎌倉時代中頃のものと推定される。板碑とは極楽浄土へ行けるよう生前に作った物である。

 

法雲寺の釣り鐘は、さかのぼること昭和19年(1944)2月、太平洋戦争中、神社仏閣の金物類まで供出するようになり、法雲寺の鐘も供出の命を受け、関係者一同にて本堂前で釣り鐘に別れの杯をくみ交わし、駅まで送り出した。鐘の音も途絶えることとなったのです。その後、檀家の協力により釣り鐘と鐘楼は昭和44年から3か年で積立預金により工事を進め、寺の山より材木を切り出し製材して大工は正木氏、石積みは川久保氏、瓦工事は近藤氏、釣り鐘は富山県高岡市追子の鐘専門店へ依頼して昭和46年(1971)に完成し再建されたものである。

 

 

<参考文献>

・「波加利の里 」初狩町高齢者学級著作(昭和53年(1978)3月)

・山梨の文化財ガイド(山梨県内の国・県指定文化財のデータベース、考古資料)

<写真>

   ©画像:byみどう本陣】